こんなお母さんになってほしい。
それはある晴れた夏の昼下がり。
うどん屋さんで食事をしていたときのこと。
店内には数人の客と、こどもふたりを連れたお母さんがいた。
シックなおしゃれが似合うお母さんとこどもたち。仲睦まじく三人は、うどんを食べていた。
すると大きな方のこどもさんが鉢をひっくり返してしまった。テーブルと床に散乱する白い麺と汁。
お母さんは、慌てることなく落ち着いた口調で、まず、こどもさんに「大丈夫?」とたずねた。
確認してすぐに、うどん屋のご主人に「すみません。こぼしてしまったので、おふきんを貸していただけますか?」としっかりと穏やかな表情で言った。
うどん屋のご主人は昭和と共に老人になった律儀さで、白いエプロンが身体の一部のように似合っている。落ち着いた温かみのある声で、「ああ、いいんですよ。やりますから」と、慌てることもなくマイペーズでテーブルを拭き出した。
お母さんはやはり落ち着いた口調で「申し訳ありません。ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えた。
うどん屋のご主人は愛想笑いすることもなく、淡々と「どういたしまして」と笑顔で返した。
そして、お母さんは、自分の鉢から麺とおつゆをこどもさんの鉢に少し移してあげて、そのまま食事を続けた。
店内の空気の編み目から、もれそうだった取り返しのつかないものの、どれもを大地的に掬ったのだ。静けさが切れることなく過ぎていった。
こどもたちは、きれいなお母さんから、永遠の励ましをもらった。
これは、君の笑顔のつぎに、ボクが見た一番好きなシーンだ。
人は、もっときれいに暮らしていくことができる。
クリスマスを10日後に控えた冬、いつか見たインディアンサマーのような日が本当にあったように、それ以上の高い確率で、人は自分のありようで、すてきな時間を持つことができる。
君には、こんなお母さんになってもらいたい。
似合いそうだから、本当は、こんなお母さん以上のこんなお母さんになってもらいたいんだ。
君のほしいものは何ですか?
(福井 足羽神社)
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