成熟、いつか来る中年期

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福井県福井市福井工業大学

●成熟、いつか来る中年期

心は人生の羅針盤の役目をしている。
経験を重ねるほど心も成熟していくのが理想だ。しかし人生にはいくつかの難問があり、成熟の前に立ちはだかる。

・結婚生活が必ずしも思ったようにいかない
・その影響で家族生活が充実していない
・孤独感から感情的な行動をとることが多い
・体験が心の成熟に発展しない
・変わりばえのない暮らしが続いている

中年期の節目を迎えると、以前のような若さが失われることも含めて失ったものを感じるようになることが少なくない。さらに中年期には女性の場合、更年期障害が重なり、誰にも分かってもらえない苦しみに心身が覆われてしまうこともある。幼児期からの未解決の問題をかかえたままだと、節目で済まされない孤立の危機を感じることも少なくない。

どうすれば孤立感を乗り越えて、成熟にたどり着けるのか、その方法を考えてみよう。
充実した中年期にするコツがある。

・自分の軌跡を大切にする
・いままでの自分を棚卸しする
・過去とは違う、新しい視点で物事を観るようにする


人にはイメージによる記憶とことばによる記憶がある。イメージで観たことだけでなく、言葉によって記憶したことがあるのだ。サンタクロース、宇宙人、UFO 、ネッシー、幽霊などの本物は観たことがだろうが、どんなものかと訊かれたら、およそのイメージを言葉にして答えることができる。

人間は言葉を使うことで発展してきた。犬、猫には言葉がないので、サンタクロース、河童、宇宙人、UFO 、ネッシー、幽霊などは知らない。そればかりか、親という言葉もなければ子という言葉もない。彼らは実際の体験だけで親子関係を持っているのだ。

ペンギンの親は、海に餌をとりに出かけ、こどもはその間、帰りを陸で待っている。夕暮れになると、団体行動で秩序を守りながら、間違うことなく自分の子供に餌を持って帰る。僕はニューシーランドでその光景を見続けていて、気がついたら食事をする店が一軒も開いていなくて、空腹のまま朝を迎えたことがあった。愛の言葉のない分、余計に無垢な愛を強く感じたんだ。


「愛」はとっても微妙で、イメージもあるけれど、言葉の記憶が混ざっている。言葉を使うことを覚えたために悩みを抱えることになった例と言える。

「愛のかたち」となると、自分の親から学ぶ以外、ほとんど言葉で記憶したものだろう。親の姿から記憶することができなかった場合、言葉による記憶が頼りだ。

それなら、自分がことばで記憶した「愛」があるなら、その記憶を実際に存在するものしてしまえばどうかと思うんだ。河童や宇宙人になれなくても、愛のかたちを作ることはできるはずだ。「愛がない」と言わずに、視点を変えることで作り上げるのだ。決して楽なことだとは思わないけれど。

それにしても、簡単でないのは、視点を変えても、ひとりではできないのが「愛の関係」だ。愛はコミュニケーションの問題だからね。乱暴な言い方をすると、恋をしたら・・・結婚したら・・・・それなりに「愛の形」が自動的についてくるものだと思っていなかっただろうか?しかし、「愛のかたち」はもともと、人間が作り出した河童のようなものだ。

だからコミュニケーションのありかたを変えて作り出せばいいだけのことだけど、厄介なのはこの先だ。コミュニケーションをとりたくても、感情的に技術的にどうしていいのか分からないということもある。

とまどいの原因は「受身的」な態度にある。

受け身に、不満がプラスさせると、攻撃的受け身になる。言ってることと態度が違うのは、その代表だ。「分かってくれるはず」「分かってくれてもいいじゃない」攻撃的受け身には自分固有のイメージと、言葉による記憶が優先している上に依存がある。だからすごく分かりにくい。

育ってきた環境が違うので、イメージが違うのが当然だ。動物ならイメージでしか行動できないので、イメージが違っても喧嘩にはならないし、それ以上、要求のしようもない。厄介なことに人間の場合はそうはいかない。なにしろ言葉を使うからね。「イメージが違うからあなたの気持ちは分かりません」では終わらない。それなら「考えろ」と言葉を使うことを要求する。考えるには「モチベーション」が必要だが、それも乏しいとなると、ますます腹が立ち、失った若さが翳りを落とすことになる。

もう一度言うが、受け身をやめて、能動的に働きかけよう。成熟した心の特徴は「言葉をコントロールできる」ことにあるのだから。

成熟とは、健全な心を発展させること、あるいは病んだ心を健全な状態に変えること。自立を進化させること。自立の障害になるのが、依存であり、受け身な態度、あなたと私の間の境界がないコミュニケーションであり、コントロールなのだ。それが悪いことと思えないのは「抑圧」が被害者意識を強めているからだ。

抑圧の背景には

・依存症
・自己評価が低い
・完全主義(到達不可能な基準)

があり、つまり無意味な我慢をすることで、互いを傷つけてしまう。さらに、中年期には次のような特有の課題もある。

・個人
・仕事(定年)
・家族

中年期特有の問題は、ひとつずつ解決していかなければならないが、これにも悪影響を与える。「個人」の問題では、健康管理の障害にもなる。さらに、健全な家族作りの障害になる。

家族の問題は、夫婦関係を悪くする危険があるので、要注意だ。健全でない家族には、抑圧の背景が家族の病理になってはりつく。

・家族間のルールがバラバラで曖昧
・境界が混乱
・気持ちを言葉にして表現できない

健全でない家族の場合には、コミュニケーションに影響する。ライフスキルが身につかない構造を仕組み化してしまう。その結果は、こどもの問題行動になって露出することになる。

ライフスキルの不足は、次のような現象となって表れる。

・自今認識スキル(相手との違いが理解できない)
・ストレスマネジメント(感情的な行動をしてしまう)
・意志決定スキル(時間管理ができない)
・目標設定スキル(目標を持って暮らせない)
・コミュニケーションスキル(信頼関係が築けない)

こどもにライフスキルの不足があると、やがて家庭内の問題として、夫婦にのしかかってくる。ますます夫婦仲には亀裂が生じるだけでなく、家族が分解してしまうことだってある。

このような悲劇を回避するために、次のことに留意しょう。

・ポジティブに行動する
・肯定的にとらえる
・サポートを受ける

若さを失う不安、目標を失う不安に注目しても、プラス効果はない。中年期ならではの、すばらしさを意識しょう。「もう若くはない」と考えずに「これまでの経験を活かして、さらに深化させたい」とポジティブに行動するんだ。目的と目標を作りなおして、経験の豊かさを積極的に活用し、さらに豊かな経験を増すようにする。分からないこと、困ったことがあれば積極的にサポートを受けるようにするんだ。

・目的
・能力のリストアップ
・目標設定
・必要なスキルの再教育を受ける
・健康管理


持っている能力を活かしながら、目標設定をして、目標達成に必要なスキルを再教育で補う。健康管理とプロセスを楽しむようにしながら取り組んでいくようする。同じことは夫婦関係においても言えることなのだ。



次の図は、モチベーションをあげていく手順を図にしたものだ。

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・できないし、したくない
・できないけれど、したい
・できるけれど、したくない
・できるし、したい



同じことは、次のように置き換えることもできる。

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・仲良くしたくない、家族はどうなってもいい
・仲良くしたいが、家族はどうでもいい
・仲良くしたくないが、家族は大切だ
・仲良くしたいし、家族も大切だ



4つで選ぶ道は、ひとつしかないはずだ。
で、あるなら、「分かってくれるはず」ではなく、「分かり合えるようにやり続けよう」を選ぶのが最適な選択なのだ。「アグレッシブ(攻撃的)な受け身」でも、「ノン・アサーティブ(非主張)な受け身」ではなく、「アサーティブに能動的」なコミュニケーションに変えよう。
それで夫婦仲が改善できなくても、家族間のコミュニケーションは改善できる。

成熟とは、自立を進化させること。なれる最高の自分になること、必要なサポートを受けることができる自分になることだ。それは健全な家族とは問題がないことではなく、問題があっても乗り越える力を持っていることなのだ。

是非、「愛のこと」も参考にしてほしい。




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福井県福井市


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