機能する家族



自分が何を苦痛としているのか、どう考えているのかを探究することで、子供を励ます能力を磨く。
親はパートナー以上に、こどもを通じて学ぶことができるのだ。子供に注意をするとき、叱るとき、あるいは子供が言うことを聞かないとき、親は気分を害すが、
パートナーに比べると防衛することは少ない。その分、自分が何を恐れ、不安になり、苛立っているのかが、晴れた日の空を見るように見やすい。

もし、こどもを通じて学ぶ意志がなく、苛立って叱責するなら、こどもへの態度は白か黒かのように、甘やかすか、あるいは厳格、感情的になるかに分かれるだろう。
学ぼうとしない親の態度や表情は、親自身にも、こどもたちにも、プラスになるものはなにもないのだ。

このような体験を積んでいくと、子供はコントロールされることに不満を持ち、親から離れようとする。うっとうしいから距離を置きたいという理由からだ。子供は親の仕組みを真似してコントロールしょうするのだ。しかしそれは自立に向かっているものではなく、自分の放棄でしかない。パートナーの場合と同じく、愛されていないと感じている。

思春期のこどもの反抗は、自立したい欲求が背景にある。にも、関わらず親がいつまでもコントロールしようとするから複雑になるのだ。親のコントロールはこどもへの愛情ではなく、親自身の不安から起こっているといえる。こどもがそれに反抗するのは、こどもに生じた不安に対する防衛だ。反抗は双方が自分を失っている証しなのだ。

親子が不安になっていたら、家族に安定はなくなる。「反抗期」は、突然やってくるのではなく、そこに至るまでの結果なのだ。
親が境界を認識して、こどもの自由つまり率直、誠実、対等、自己責任を柱にした良心と、良心で使いこなせる知識、知恵からなる良識を尊重すればこどもの欲求をくじくことはない。
不透明な限界への不安、アイデンティティの混乱、自立へのとまどいと葛藤が生じると価値観の衝突が起こるので対立は避けられないにしても、あっておかしくない問題は乗り越えることができる。対立を通して愛されていると感じて、家族の親密さが深まる。食事の時間も寝る時間も、親密で愛情のあるひとときになる。

家族の基盤は、ひとり、ひとりのありようで作る。
パートナーのそれぞれが自分の恐怖や価値観を認識していないと、防衛的になる。防衛的になると、相手に力を誇示するか、逆に力不足を強調する支配的なコミュニケーションをするようになる。
日常的に主導権争いが家庭は戦場になる。戦火が鎮まるのは無関心、服従になったときですが、仮面をかぶっただけなので、親密で愛情のあるコミュニケーションはなく、本当の平和はない。
率直、誠実、対等、自己責任を柱にしたコミュニケーションができなくなり、愛情を感じることも学ぶこともできなくなる。
他者の庭からは青い芝生に見えてもその実態は枯れているのだ。

家族で大切なことは、境界を守ることだ。
ひとりひとりの「個室」があっても、境界を守らなければ「個室」はないのだ。
物質的な豊かさを実現しても、虚ろなのは、親密な愛情が欠けているからだ。親密な愛情の正体は境界つまり個人の自由を尊重した励ましのある関係だ。

自由とは、良心と良識だ。
良心とは、率直、誠実、対等、自己責任を柱にした心だ。良識とは、知識、知恵を良心で使いこなせるスキルだ。自由は、境界の領域にしかないのだ。
相手が誰であっても、支配的、防衛的、依存的な態度・言動は自由を尊重しないものだ。

自由を尊重するとは、自分を考え、相手を考えることだ。
相手を変えようとするかわりに、「相手のことを知りたい、学びたい」と心から思うとき、喜びが跳ねながらやってくるだろう。
コントロールしたい欲求を捨てることは難しいものだ。学ぶよりも楽だからだ。手抜きだ。つまりそれこそが愛情の不足なのだ。
愛情とは、その難儀を難儀と思わず、心から「相手のことを知りたい、学びたい」と思い実行することなのだ。


ひとりひとりの欲求や権利が尊重されると、ひとりひとりが学び成長しながら、全員で愛する体験をつくっていける。これが機能する家族の仕組みの基盤なのだ。

このやり方が難しいと感じるのは、他のシステムを疑いもしないで受け入れているからだ。

国、地域、学校、家族、あらゆる共同体が、問題意識もないまま当たり前のように恐怖心や罪悪感を利用して、コントロールしている状態になれているからだ。しかしそれらは安心や意欲を引き出す代わりに不安、不信、反感を引き出してしまうのだ。

たとえば人の評価をするときに、その人の内側にある本当の価値に無関心なまま、なにを手に入れたかで判断するように、自分に対しても同じ評価をしている。
なぜ、そういう評価をしているのか、考えてみることが必要なのだ。





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